がんばらない生き方

 諏訪中央病院の名誉院長をしておられる鎌田實さんという方がいます。テレビなどにもよく出演しておられますから、みなさんもご存知ではないかと思います。鎌田さんは、30代で諏訪中央病院の院長となり、つぶれかけた赤字病院を再生されたばかりか、長野県を健康長寿で、医療費の安い県に導かれた方として有名です。今から約20年ほど前に、その鎌田實さんが書かれたベストセラー「がんばらない」という本に触発されて、様々なところで、「がんばらない」生き方が注目されるようになりました。
 考えてみますと、私たちは、小さいときから、頑張って努力をすれば、きっと幸福が手にはいると教えられて生きてきました。ところが、頑張っても、頑張っても、努力しても努力しても、少しも、そのがんばりや努力が、目に見える成果となって現れない困難に直面することがあるのです。
 今、私たちは、新型コロナウイルス感染症という、世界的に流行している感染症のために、忍耐を強いられる生活をしています。第一波がようやく収まったかと思いますと、今は、第二波がやって来ているようで、一体、いつになったら、この不自由な生活から、解放されるのだろうか、いつまで、この忍耐や努力を続ければよいのだろうかと、疲れ果てたり、ストレスをため込んだりしているのではないでしょうか。

 旧約聖書に、ギデオンという人物が登場します。イスラエルの国が、エジプトの奴隷から解放されて、約束の地カナンに定着した頃のお話です。毎年、収穫の時期になると、ミディアン人やアマレク人など、遊牧民が大挙して押し寄せ、その収穫や、羊や牛やろばをことごとく略奪していくのです。度重なる外敵の略奪によって、イスラエルの民が非常に困窮していたとき、神様は、ギデオンを用いて、外敵の手から、イスラエルを救い出しました。
 しかし、ギデオンという人は、決して、勇敢な大人物ではありませんでした。略奪者を恐れて、こっそり隠れて、農作業をするような人だったのです。神様が、ギデオンを召して、外敵に立ち向かうように命じたときも、彼は、自分は和解し、弱いし、とても出来ないと尻込みしました。しかし、「行け、あなたのその力で。あなたはイスラエルをミディアン人の手から救うのだ。わたしがあなたを遣わすのではないか。」という神のおことばに従って、ギデオンが立ち上がったとき、神様は、わずか300人の兵力で、13万5千人もの敵を蹴散らすという、驚くべきみわざを行われました。
 神様は、私たちに対して、「がんばれ!がんばれ!」と絶えず叱咤激励し、私たちが少しでも怠けようものなら、罰を与えるようなお方ではありません。私たちの無力を十分理解して、なお、「行け、あなたのその力で」と仰ってくださるお方なのです。私たちの頑張りで何とかするのではなく、この神様のことばを信じて一歩踏み出す勇気が大切ではないでしょうか。

「行け、あなたのその力で。あなたはイスラエルをミディアン人の手から救うのだ。わたしがあなたを遣わすのではないか。」

新改訳聖書2017 士師記6:14

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